東京電力などは、6月1日から低圧電力を値上げする。地球温暖化対策税の税率引き上げによる燃料価格の上昇分を、電力量料金に反映させる。電力自由化直後の値上は痛手になるとの見方がある一方、電力各社は優良顧客の囲い込みで自由化の波を乗り切りたい考え。

 電気料金は元々、使う量が多いほど高く設定されており、電力会社にとって大量に電気を使用する人ほど優良顧客だ。自由化によって顧客獲得競争の激化が予想される中、いかに優良顧客を確保できるかは大きなカギだ。これまで6月だったトップ交代を4月に早めた中国電力も、新体制への移行を前倒しして優良顧客である地元企業との連携を強化する。

 大手広告代理店が実施した電力小売り自由化に関する調査では、7割以上が電力会社を変えてみたいと回答。新規参入するauやソフトバンクは、携帯電話とのセットプランを設定したが、これまでの契約実績をもとに支払いなどが確実な優良顧客を囲い込みたいとの思いも見え隠れする。電力自由化は優良顧客をどれだけ確保できるかが、ひとつの焦点となりそうだ。