電力小売りに参入する石油やガス各社が、自前の電源確保を急ピッチで進めている。昭和シェル石油は今月、一般家庭約8万3000世帯分の電力がつくれる京浜バイオマス発電所の運転を開始した。JX日鉱日石エネルギーは天然ガス火力発電所の出力を2021年までに現在の2倍以上に拡充、東京ガスは火力発電所の新増設などで出力を20年までに現在の2・3倍に引き上げる。

 石油やガス会社が自前の電源確保強化に動くのは、小売り事業による電力不足が懸念されるため。不足分は大手電力の購入も可能だが、薄利になるうえ料金設定の自由度も狭まることから、自前の電力と、石油、ガスのセット販売などで大手電力と競争できる料金設定を目論む。

 一方の大手電力は、料金以外のサービス拡充で新規参入事業者への流出を防ぐ。東京電力がソフトバンクとのセット販売などを計画しいているものその一環。中部電力は離れて暮らす高齢者の見守りに役立つサービスに乗り出すほか、関西電力は暮らし応急処理サービスを始める。