制度設計ワーキンググループで示された指針として、FITで調達した電源を「グリーン」「クリーン」「環境にやさしい」と謳えないことになることがほぼ決定した。新電力も含めた電力各社は、環境意識の高い需要家をターゲットに、緑色の電力メニューの検討をしていたが、方向修正を余儀なくされる。
 第13回制度設計ワーキンググループで一部オブザーバーから「FITと謳うことが消費者の誤解を招くのでよくない」という意見が出た。FITつまり、固定価格買取制度により電気事業者が買い取った電源には、環境価値が含まれている。しかし実際に送電線を通り、需要地点で供給される際には、すでに電力会社に対してその分の補填費用が支払われておりその環境価値は失われている。もともとの電源が太陽光、風力、地熱などの環境価値が高いものだったとしても、消費する際には関係がない。「当社の電源はFIT電源です」といった場合の正しい認識は「国民皆様から集めたお金で成り立っている電源です」というものだが、一般需要家の多くはそう考えておらず、むしろ「FIT=クリーンな電力」と捉えていることが伺えるシーンであった。
  3円/kWhを超えるのではないかと見られていた再エネ賦課金は最終的に2015年5月~2016年4月までは1.58円/kWhに落ち着いたが、平均的な一般家庭の電気使用量が300kWh/月なので、実に470円/月、年間にして5000円を超える出費となる。FITは発電した電気に対する買取の制度であり、買取価格が下がっているとはいえ、国策として今後もFITの買取負担は積み重ねられていく。
 いずれ、需要家のFITという言葉に対する認知度があがることで前述の議論は起きなくなると思われるが、いま現在で「FIT電源を販売しています」というのが要らぬ誤解を生んでしまう可能性があるため、表記を禁止した方がいいというのは確かにその通りかもしれない。
  環境価値の高い電気を買いたい需要家に対する表示は、電源構成と供給量にラベルをつける必要があり、実務上、非常に煩雑であることが予想される。緑の電気に業務という付加価値がのせられてより高くなった電気のニーズについて今一度、考えてみる必要があるだろう。