電気事業法改正法案(電気事業法等の一部を改正する等の法律案)が去る6月17日に第189回通常国会の参議院可決により成立した。本改正は大手電力会社から送電部門を切り離しことを目的としたもの。2020年までの猶予期間を持たせつつ、2016年4月の小売自由化後の電力市場は「電力・ガス取引監視等委員会」の監視のもと託送供給の公平性が担保される。
 2020年4月以降は、家庭向け電気料金を認可する規制が撤廃される。通信・ガスなどの割引メニュー、期間キャンペーンによる集客とそれ以降の料金改定による収益の確保が容易になることで、事業者間競争が激化すると予想される。
 さまざまな業界の動きが活発になっている。電力会社では東京電力が2016年4月にホールディングスを設立し、燃料・火力、送配電、小売の事業会社をぶら下げる体制に移行する。関西電力では海外事業、水力発電事業を独立部門とする。また首都圏エリアでの本格営業を見据えて「東京営業部」を来春に新設する。
 石油業界ではJX日鉱日石エネルギーが川崎天然ガス発電所の増設検討を開始した。通信業界ではJ:COMが住友系のサミットエナジーと提携し「J:COM電力」の提供を行う。ソフトバンクは東電との全国的提携を9月に予定しており、新会社の共同設立まで見据えた交渉過程にある。
 LPG業界ではニチガス、TOKAIホールディングスが東京電力と協議を行っている。
 いずれにしても目下の中心プレイヤーは東電。ポイントカード事業者との複数提携など全方位的なアライアンスを模索し、体制強化を目指す一方で、アライアンス先のカニバリゼーションをいかにクリアしていくかが注目される。