2016年04月

光熱費の見直しもあって、電力の切り替えがじわり広がる

 電力自由化がスタートし、改めて光熱費の見直しを考える家庭が増えている。KDDIの調査によると、今年度の家計の見直しを考えたいと回答した世帯は54.1%となり、見直したい家計項目は「光熱費」が8割を超えてトップだった。

 こうした背景から電力の契約先を新規事業者に切り替える動きもじわりと増えており、15日時点で68万3000世帯に達した。全国の世帯数(6260万)からみると約1%だが、一週間前の8日時点からは約6万件増えた。地域別では東京電力ホールディングス管内が42万9700件と最多で、次が関西電力管内の16万5000件。両管内とも大手都市ガス事業者への切り替えが多くなっており、東京ガスは約26万件、大阪ガスが11万件超の契約を獲得した。     

一方で、詐欺的な勧誘も増加しており、経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会は、川崎市などで正しい知識をPRする街頭キャンペーンを実施。虚偽や誤解を招くような勧誘の指導も行っている。

電力会社切り替えで成果をあげる都市ガスやLPガス会社

 電力小売りの全面自由化で電力会社の切り替えが本格化する中、住居を訪問する機会が多い都市ガスやLP(液化石油)ガス事業者が成果を上げている。半面、ガソリンスタンドなど〝消費者を待つ〟営業スタイルは厳しい状況のようだ。

 電力会社の切り替えについては、小売都市ガスやLPガス事業者は、検針や請求などを通して顧客の家族構成やエネルギー使用量を日ごろから把握しており、住居を訪問して本来商品やサービスとあわせて電力を売る戦略が奏功している。携帯電話販売店やガソリンスタンドは、多様な消費者が訪れるものの限られた時間の中での商談では成果に結びつかないことも多い。例えば、携帯販売店への来客が電力に関心をもっていても、契約には検針票をもって再来店する必要があることがネックになるなど、盲点も見え始めてきた。

一方で、小売事業者の営業活動についての相談や問い合わせも増加しており、電力・ガス取引監視等委員会は事実関係の確認や指導を実施。消費者庁も注意喚起を行っている。

魅力的サービスが登場する一方、デメリット情報の少なさから様子見も多い

 電力自由化で魅力的なサービスが続々と登場している一方で、自由化に対するデメリット情報が少なく切り替えに対して消費者は様子見している人も多い。

 大手リサーチ会社の調査によると、電力会社切り替えの検討・申し込み理由では、「料金低下」と「サービス向上」が多く、他のサービスとセットで割引が受けられるガス会社や携帯電話会社のサービスが人気だ。このほかにもミサワホームが電気代に応じてポイントを付加し自宅のメンテナンスやリフォーム費用に充当できる「ミサワでんき」をはじめ、JXグループはガソリン代が安くなる「ENEOSでんき」をスタート、各社がそれぞれ特徴を活かしたサービスを展開している。

 とはいえ、実際の切り替えはあまり進んでいない。自身が利用しているサービスが突然打ち切りになる可能性や契約した事業者が倒産した場合の対応など、漠然と不安を感じる人が多く消費者が様子見しているためだ。自由化に対するデメリット情報の少なさがその背景にあるようだ。

様子見の家庭多く、電力自由化で新規への切り替えは初日で0.6%

電力小売全面自由化を受けて、大手電力や新規参入事業者が各種料金プランを策定しているが、消費者の関心はあまり高くなく新規事業者への切り替えはスタート初日が0.6%だった。ただ、自由化に伴う詐欺的な便乗商法が横行しており、消費者は注意が必要だ。

 インターネットマーケティングのフルスピードが、20-49歳の既婚女性106人を対象にした電力自由化への期待調査では、約半数が「電力自由化に興味がない」ことがわかった。乗り換える場合の時期について聞いたところ、「乗り換えようと思っていない」が約半分を占め、おおよそ4人に1人が6カ月以内と回答した。背景には新プランに切り替えなくても大手電力とのこれまでの契約が継続されるため、様子見の家庭も多いようだ。

 一方で、電力自由化を巡っては便乗商法が横行している。国民生活センターには、自由化と絡めて高額の太陽光発電機器を売りつける被害などの相談が急増しており、国は注意を呼び掛けている。

電力自由化がスタート、急がずにまずは内容の精査を

関西電力は6月に岩根茂樹副社長が社長に就任する人事を発表した。電力の小売り自由化がスタートし、各社は携帯電話やガス、ガソリンなどのセットで「お得感」を強調して顧客獲得に力を入れているが、最適プランの把握が難しくトラブルとなるケースもある。関電は、新体制への移行によって自由化に対抗していく。

 調査会社のアドフレックス・コミュニケーションズが20―60歳以上を対象にまとめた節電に関する調査によると、60歳以上は電気料金プランの見直しにはあまり関心が高くないことがわかった。こうした状況を反映して電力自由化に関するトラブルも数多く起きており、東京ガスグループの営業マンが高齢者に対し契約書の住所・氏名、電話番号のほか、署名をも代筆したことが発覚、契約解除となった。国民生活センターには、昨年末に110件だった訪問販売の苦情が今年はすでに360件を上回っている。自由化が始まったからといって急いで契約先を変更することもないので、まずは十分な内容精査が求められる。