2016年03月

電力自由化による契約変更申し込みは10万5000件

電力小売全面自由化に向けて、既存の大手電力会社から新規事業者への契約切り替えが進んでいる。電力会社間の需給を調整する電力広域的運営推進機関によると、大手電力からの切り替えは今月中旬時点で約10万5000件となり、設備や使用量の情報照会などを行っている件数も約23万6000件ある。

契約変更を各社別にみると、東京電力が4万9000件、関西電力が3万2000件となっている一方、東北電力は2400件、四国電力が1000件、北陸電力が600件で、沖縄電力にいたってはゼロ。これは、新規参入事業者が二大都市圏で積極的に提案を進めているためと見られ、参入が少ない地方と差がでている。

こうした中、カカクコムの購買支援サイト「価格.com(カカクドットコム)」が実施したアンケート調査では、電力自由化の「内容を知っている」は48.3%だった。ただ、事前申し込みをしたのは7.5%にとどまっており、していない理由の半分以上は「様子見」(52.5%)だった。

電力取引監視委が電力自由化で注意呼びかけ

電力自由化まで約2週間となる中、各社による営業活動も熱を帯びてきた。九州電力福岡営業所は、福岡・天神の商業施設「ノース天神」で新料金プランをPR、KDDIは沖縄セルラーと共同で関連キャンペーンを実施しいている。

九電福岡営業所は、新プランに移行した場合の電気料金の試算や電気使用状況をチェックできる会員制サイトへの登録を呼び掛けた。顧客対応の最前線となる営業所が前面に出ることで、顧客囲い込みを図る。また、KDDIが運営するauは、KDDIが4月に始める電力サービス「auでんき」に絡み、auショップに検針票をもってきた来店客に「auでんち」をプレゼントするキャンペーンを始めた。

各社の顧客囲い込み競争が激化する中で、不審な勧誘も増えている。電力取引監視等委員会は、国民生活センターと共同で消費者からの相談事例を公表し不正勧誘への注意を喚起。相談件数は1月以降急増しており、おかしいと思ったら消費者ホットラインに連絡するよう呼び掛けている。

電力取引監視等委員会が小売事業者に事業の適正化促す

 電力取引監視等委員会が、事業者に適正な事業活動の推進を促している。大手電力に対し法律上問題となる行為として、不当な安値でのセット割引などを挙げた指針を公表した。自社の電気と他社の商品などを組み合わせて、採算を度外視した安値でセット販売すると新規参入する事業者(新電力)が事業継続できなく恐れがあるため。一方、登録制にもかかわらず「審査・認可を受けた事業者」と記載して小売り事業者には改善指導を行った。

 大手広告代理店が昨年11月に実施した意識調査では、電力自由化への認知度は6割以上だったが内容の理解度は少数だった。自由化までわずかとなり、顧客獲得競争が激しさを増す中で事業者の営業活動に一部問題があったり、便乗商法などもでてきている。このため電力取引監視等委員会は、これまで平日の日中に行っていた相談窓口の開設時間を、3月26日―4月15日まで平日は午後10時まで、休日も午後9時30分―午後5時30分まで受け付けることにした。

電力自由化の周知徹底で電力監視委が「自由化キャラバン」展開

 東京電力と三菱地所ホームは、4月1日以降に三菱地所ホームの全館空調システム「エアロテック」を導入した新築戸建て住宅向けの電気料金プランを開発した。電力会社と住宅メーカーのコラボレーションは初めて。

 経済産業省によると、電力自由化で参入する小売電気事業者は審査中も含めて約280社。顧客獲得に向け各社は、サービスの差別化や加価値化に注力しており、今回の東電と三菱地所のコラボもその一例。

 一方競争の激化に伴い、国民生活センターへの相談も急増している。昨年の4―6月に16件、7―9月に34件、10-12月に52件だった電力小売自由化関連の相談は、今年1―2月の2ヵ月間で98件となった。こうした背景もあり、電力取引監視等委員会は2月から電力小売自由化を周知する一般向けイベント「自由化キャラバン」を全国30ヵ所以上の商店街やショッピングモールなどで実施。パネル展示や動画などで、小売り自由化の概要や注意点などを紹介する。