2015年12月

電力小売り自由化でガス会社に追い風?

 電力小売り自由化で、エネルギー消費量の多い施設やチェーン化率の高い店舗などが新電力への切り替えが進みやすいという調査結果を市場調査会社の富士経済が公表した。具体的には、コンビニエンスストアやドラッグストア、クリーニング店などで、既存事業とのシナジー効果が見込めるガス会社や石油会社、通信事業者などが小売り事業者の中心になると見ている。

 こうした中、テレマーケティングなどを手掛けるグリーン・シップが11月初めに東京と大阪で聞いた「電力自由化による購入先の変更」では、「都市ガス会社」(東京16・6%、大阪19・7%)が最も多かった。ただ、「電力会社を変更する予定はない」との回答は東京で36・0%、大阪で34・8%に達しており、電力会社の変更に慎重な利用者も多い。

 電力自由化に向けてはすでに、国民生活センターに「知らない電力会社から『電気を安くできる』と電話があったが本当か」などの問い合わせが寄せられており、同センターは、内容を正しく理解したうえで契約を結ぶほか便乗商法にも注意するよう呼び掛けている。

電力の小売営業に関する指針まとまる 代理業者などの説明義務違反は「問題となる行為」

 来年4月の電力小売り全面自由化に向けて、経済産業省は電力取引監視等委員会の制度設計専門家会合で、電気販売する小売電気事業者に対し、「電力の小売営業に関する指針(案)」を示した。

 同指針では、低圧需要家向け標準メニューの公表を「望ましい行為」としたほか、セット販売を新規に行う場合、各契約の契約期間を同じに設定することや、各契約のうち最も長期の契約期間満了時にはセット販売に関する複数の契約を違約金なしで解除できるようにすることを「望ましい行為」としている。

 一方、使用電力量などの情報を請求書やウェブサイトで閲覧できることを理由に需要家に示さないことや、誤解を招く情報提供でのサービス誘導を「問題となる行為」とした。小売電気事業者が、媒介・取次・代理業者に対し需要家への説明義務など適切な営業活動を行うよう指示・監督せず、媒介・取次・代理業者が説明義務違反した場合にも「問題となる行為」と位置づけた。契約解除を一切許容しない期間や不当な高額違約金の設定も「問題となる行為」とした。 

電力小売りルールが大筋でまとまる、「電源構成」の開示義務は見送り

 電力小売自由化まで3カ月あまり。経済産業省の電力取引監視等委員会は、電力小売事業者の営業活動に関するルール案を有識者会議に示した。標準メニューの明示や高額違約金の禁止などを盛り込む一方、消費者団体などを求めていた「電源構成」の開示義務は見送り、ホームページなどで電源構成を公表するよう促すことにとどめた。今後、意見公募を経て、来年1月にも正式決定する。

 こうした中、新たにテーマパーク運営のハウステンボスが、来年4月以降に家庭用などの小口電力販売に参入することを表明した。自主電源として約10億円を投じ、来年夏にテーマパーク内の敷地に出力7500kWのガスエンジン発電機を導入する。

電力小売自由化を巡っては、近く、大手電力会社が新規事業者に対し、送電線の利用料を明示する予定だ。それを受けて新規事業者による料金プランの策定も加速する見通しで、営業活動のルール決定に伴い、年明け以降、新規参入各社の詳細な事業計画も明らかになるとみられる。

自由化に期待高まるも新電力には新たな課題も?

 東京電力は、電力小売り自由化に向けてUSENと提携した。東電や子会社が提供する電力を、USENが東電のサービスエリアだけでなく中部や関西エリアの法人事業者向けに販売する。東電グループが提供する商品やUSENの音楽配信商品などを組み合わせた新サービスも共同開発するほか、USENは電力と事業運営をサポートするサービスも計画している。

 また、来年4月から戸建てなどに電力小売りを予定しているジュピターテレコムは、電力小売りサービスの専用サイトをオープンした。家電製品などが当たるキャンペーンも始める。

 各社が打ち出す多様なサービスプランにより自由化に対する期待が高まる一方、電源構成表示の義務化が大きな議論を呼んでいる。消費者の選択の権利や再生可能エネルギーの普及が狙いだが、新電力が利用するとみられる卸電力取引所や地場電力会社から受けるバックアップ電源の種別はわかりにくく、義務化は新電力にとって頭の痛い課題となりそうだ。