2015年11月

電力自由化で低料金に大きな期待、エネルギー企業の経営形態に変革も?

 電力小売り自由化で、消費者の約8割が電力会社の切り替えを検討していることが、経済産業省・総合資源エネルギー調査会専門委員会の調査でわかった。購入先への期待では「料金が安いこと」が44%と最多で、参入を予定している新電力(特定規模電気事業者)各社は現在、料金やサービス内容を詰めている。

こうした中、東燃ゼネラル石油は東京電力の料金から最大6%割り引いて販売する予定だ、と週刊ダイヤモンドが伝えた。他社に先駆けて動き出し、顧客獲得競争を有利に運びたいとの思いがあるようだ。

 一方で、東京ガスは、社名変更まで検討している。現社名で電力を販売することへの違和感に加え、29年に予定されている都市ガスの小売り自由化を睨み、ガスの文字を外し総合エネルギー企業としての顧客獲得を目指す狙いがあるようだ。電力小売りの完全自由化は、その後のガス自由化と相まって、エネルギー企業の経営形態に、今後、大きな変革をもたらす可能性もある。

電力小売自由化に向け、魅力ある料金プランの設定に各社基盤を強化

 電力小売りに参入する石油やガス各社が、自前の電源確保を急ピッチで進めている。昭和シェル石油は今月、一般家庭約8万3000世帯分の電力がつくれる京浜バイオマス発電所の運転を開始した。JX日鉱日石エネルギーは天然ガス火力発電所の出力を2021年までに現在の2倍以上に拡充、東京ガスは火力発電所の新増設などで出力を20年までに現在の2・3倍に引き上げる。

 石油やガス会社が自前の電源確保強化に動くのは、小売り事業による電力不足が懸念されるため。不足分は大手電力の購入も可能だが、薄利になるうえ料金設定の自由度も狭まることから、自前の電力と、石油、ガスのセット販売などで大手電力と競争できる料金設定を目論む。

 一方の大手電力は、料金以外のサービス拡充で新規参入事業者への流出を防ぐ。東京電力がソフトバンクとのセット販売などを計画しいているものその一環。中部電力は離れて暮らす高齢者の見守りに役立つサービスに乗り出すほか、関西電力は暮らし応急処理サービスを始める。

電力小売自由化で〝守り〟ではなく〝攻め〟に転じる東京電力

 電力小売全面自由化で、最大市場の関東エリアを独占している東京電力の動向に注目が集まっている。福島第一原発の影響が東電離れを加速すると見て、新規参入者は各種セットメニューの提案で顧客獲得を目指すが、東電は異業種との連携の加え、これまでのノウハウを生かしたサービスメニューの充実などで攻勢をかけていく。

東電はソフトバンクと提携し、電力と通信、インターネットサービスをセットにした共同商品販売と新サービスの開発に着手した。リクルートやカルチュア・コンビニエンス・クラブなどと組み、ポイントサービスとの連動も検討している。

 セットメニューだけではない。東電は電力事業を生かした省エネ化提案やサービスエリア以外への進出も計画。さらに、2017年のガス小売全面自由化をにらみ電気とガスを組み合わせたエネルギーのトータル提案なども検討している。ガスの小売全面自由化は、東電にとって重要な〝攻め〟の切り札になると見られ、ガス会社の事業戦略にも影響しそうだ。

電力全面自由化で新規参入事業者が増加 電力会社は新プランなどで応戦

 電力小売全面自由化に向けて、新電力(特定規模電気事業者)と呼ばれる新規参入事業者が急増している。電力事業はすでに、小規模工場やオフィスなど電力需要の約6割が自由化されているが、4月から一般家庭や商店向けなど約8460万の契約が自由化される。数少ない成長分野として期待されて、小売電気事業者としてすでに48社が登録しているが、新電力としての届け出も増加している。

 一方で、迎え撃つ形の電力会社も新サービスの提供や異業種との連携などで攻勢をかける。東北電力はオール電化住宅と組み合わせた新料金プラン「よりそう+(プラス)シーズン&タイム」を来年4月から導入。安い料金の夜間時間帯を拡大した「よりそう+ナイト12」、夜間・休日料金を安くした「よりそう+ナイト&ホリデー」も始める。他社ポイントサービスへの交換が可能なポイント制度を計画している。また、東京電力はソフトバンクのほか、TOKAIホールディングスとも提携、営業区域外である中部地方での販売に乗り出す。