2015年10月

自由化で4割が電力会社の変更を検討、急がれる消費者への情報提供

 ネットリサーチのマーシュがまとめた「電力自由化に関する調査」によると、約7割が電力の自由化を認知しているという結果がでた。30-69歳の男女400人から回答を得た。

 「家庭向けの『電力自由化』が適用されたら自宅の電力会社を変えたいか」という問いでは、41・3%が「変えたい」と回答。その理由は「料金が安そう」がトップ。次いで「いろんな料金プランがありそう」、「今の電力会社が信頼できないから」と続く。「変えたくない理由」では「電力供給に不安がある」が最も高かった。電力会社の選択条件は「料金が安い」、「安定した電力供給」、「信頼できる企業」の順。

 電力小売り全面自由化まで半年を切ったが、各社とも具体的料金プランは明確になっていない。他社動向を見極めながら良い料金メニューを公表したいとの思惑があるようで、電力会社の切り替えを考えようにも判断材料がないのが現状だ。自由化に対する期待が高いだけに消費者への情報提供も急がれるところだ。

小売り自由化で首都圏での攻防活発化、東電は中部地域での販売を計画

 電力小売り全面自由化に向け、巨大市場である首都圏での攻防が活発化してきた。ガスや石油など新電力(特定規模電気事業者)が、他社との連携によるセット販売で顧客獲得を加速。一方で、危機感を抱く東京電力は他地域でのセット販売に乗り出す。

 JXホールディングスは、系列ガソリンスタンドを活用してガソリンと電気のセット割引販売を始める。KDDIと組んで電気と通信のセット販売も行う。このほかでは、東京ガスが都市ガスとのセット販売を計画、インターネット光回線や独自のポイントサービスを組み合わせて販売する。エネルギー業界以外では、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会が独自販路を生かした販売を検討している。

 これまで首都圏で独占販売してきた東電は、中部と関東に250万件の顧客をもつTОKAIグループと提携した。来年4月から両地域を対象にLPガスや都市ガス、通信サービス、水の宅配サービスと電力をセットにした商品を家庭向けに提供する方針。

小売電気事業者の登録第1弾の概要と今後

 経済産業省は、電力販売を行う「小売電気事業者」として、新電力(特定規模電気事業者)最大手のエネットや昭和シェル石油など40社を登録した。来年4月の電力小売り全面自由化に向けた事業者登録の第1弾。

 今回は、都市ガスや石油元売などエネルギー系業種を中心に約80社が登録申請した。9月に発足した電力取引監視等委員会が、電力確保に向けた計画や顧客への対応体制のほか、暴力団など反社会的勢力とつながりがないかなどを審査、40社の審査を終え全社が登録された。各社は今後、具体的な料金メニューの検討を本格化する。

 電力取引監視等委員会は、引き続き残る約40社についても審査を行っていく。第2弾の公表は1―2カ月後と見込まれ、電力取引監視等委員会の審査は申請先着順に行われており、今後も順次審査されていく。

大手電力会社の顧客囲い込みのためのサービス

 電力小売り自由化に向け、中部電力が顧客の囲い込みに本腰を入れ始めた。家庭向けウェブ会員サービス「カテエネ」でためたポイントを、電気料金の支払いに充当できる業界初のサービスを来年4月から始める。ポイントの交換先もNTTドコモのほか、名古屋鉄道、名古屋市交通局など現状の3社から8社に拡大する。また、スマートメーターを活用し、電気の使い過ぎを顧客にメールで通知するサービスも来年度からはじめる。
 このほかにも企業向けとして、マネーフォワードのクラウド型会計ソフト「MFクラウド会計・確定申告」と電力サービスとのパッケージプランの開発・販売を行う。
 大手電力会社の囲い込み戦略では、東京電力が通信会社やLPガス会社などと提携するなど先行。東電はさらに、電力自由化で先行する欧米の先端的な技術・サービスの発掘に本腰を入れる。米ワシントン、英ロンドンの現地事務所と連携し、エネルギー分野の新技術やサービス、企業の情報収集を進めている。

新電力各社の顧客獲得戦略

 電力需要全体の40%を占め、金額にして7兆円以上の市場規模とも言われる電力の小売りが来年4月に全面自由化されるのを受けて、新規参入する新電力(特定規模電力事業者)の顧客獲得戦略が加速してきた。

 JX日鉱日石エネルギーは、携帯電話で約3700万件の個人顧客をもつKDDIを軸に、通信とのセット販売について提携交渉を進めている。フォーバル傘下のアップルツリーも通信サービスなどとのパッケージ販売を検討中。

 一方、すでに中層ビルやスーパーなどを対象とした高圧(6000ボルト以上)向けに電力事業を展開しているイーレックスは、電力小売りを行う合弁会社「イーレックス・スパーク・エリアマーケティング」を設立。イーレックスのほか、阪和興業と阪和興業の子会社で石油製品やLPガスなどを販売するトーヨーエナジーが出資。各社が持つ強みを活かしながら電力小売り事業を拡大させていく予定で、イーレックスにとっては対象市場が実質的に倍増することになる。