電力自由化がスタート、急がずにまずは内容の精査を

関西電力は6月に岩根茂樹副社長が社長に就任する人事を発表した。電力の小売り自由化がスタートし、各社は携帯電話やガス、ガソリンなどのセットで「お得感」を強調して顧客獲得に力を入れているが、最適プランの把握が難しくトラブルとなるケースもある。関電は、新体制への移行によって自由化に対抗していく。

 調査会社のアドフレックス・コミュニケーションズが20―60歳以上を対象にまとめた節電に関する調査によると、60歳以上は電気料金プランの見直しにはあまり関心が高くないことがわかった。こうした状況を反映して電力自由化に関するトラブルも数多く起きており、東京ガスグループの営業マンが高齢者に対し契約書の住所・氏名、電話番号のほか、署名をも代筆したことが発覚、契約解除となった。国民生活センターには、昨年末に110件だった訪問販売の苦情が今年はすでに360件を上回っている。自由化が始まったからといって急いで契約先を変更することもないので、まずは十分な内容精査が求められる。

電力自由化による契約変更申し込みは10万5000件

電力小売全面自由化に向けて、既存の大手電力会社から新規事業者への契約切り替えが進んでいる。電力会社間の需給を調整する電力広域的運営推進機関によると、大手電力からの切り替えは今月中旬時点で約10万5000件となり、設備や使用量の情報照会などを行っている件数も約23万6000件ある。

契約変更を各社別にみると、東京電力が4万9000件、関西電力が3万2000件となっている一方、東北電力は2400件、四国電力が1000件、北陸電力が600件で、沖縄電力にいたってはゼロ。これは、新規参入事業者が二大都市圏で積極的に提案を進めているためと見られ、参入が少ない地方と差がでている。

こうした中、カカクコムの購買支援サイト「価格.com(カカクドットコム)」が実施したアンケート調査では、電力自由化の「内容を知っている」は48.3%だった。ただ、事前申し込みをしたのは7.5%にとどまっており、していない理由の半分以上は「様子見」(52.5%)だった。

電力取引監視委が電力自由化で注意呼びかけ

電力自由化まで約2週間となる中、各社による営業活動も熱を帯びてきた。九州電力福岡営業所は、福岡・天神の商業施設「ノース天神」で新料金プランをPR、KDDIは沖縄セルラーと共同で関連キャンペーンを実施しいている。

九電福岡営業所は、新プランに移行した場合の電気料金の試算や電気使用状況をチェックできる会員制サイトへの登録を呼び掛けた。顧客対応の最前線となる営業所が前面に出ることで、顧客囲い込みを図る。また、KDDIが運営するauは、KDDIが4月に始める電力サービス「auでんき」に絡み、auショップに検針票をもってきた来店客に「auでんち」をプレゼントするキャンペーンを始めた。

各社の顧客囲い込み競争が激化する中で、不審な勧誘も増えている。電力取引監視等委員会は、国民生活センターと共同で消費者からの相談事例を公表し不正勧誘への注意を喚起。相談件数は1月以降急増しており、おかしいと思ったら消費者ホットラインに連絡するよう呼び掛けている。