電力自由化されても新規事業者への切り替えは伸び悩み

 電力自由化がスタートして一カ月半あまり。既存電力会社からの切り替えは全体としてまだ少なく、特に地方では伸び悩んでいる。

リサーチ会社のクリエイティブジャパンが調べた「電力自由化に関するアンケート」によると、「電力自由化について知っている」との回答は8割あったが、実際に「電力会社の変更を行った」のは一割程度だった。新規事業者への切り替えが進んでいない理由として、「各社のプランを調べるのが大変」が55.4%で、「各社のプランを調べたが、よくわからず決めかねた」が29.4%だった。

電力会社などでつくる「電力広域的運営推進機関」によると、大手電力会社から新規参入事業者への切り替え申し込み件数は、制度開始から一カ月が経過した先月末時点で81万9500件と、大手電力各社の利用者の1.3%。地域別では東京電力管内が51万8000件と最多ながら切り替えの割合は2.2%。関西電力管内は18万2000件(1.8%)。一方、中国電力管内は0.05%、北陸電力管内は0.13%。地方では新規参入事業者が少ないのが伸び悩みの一因となっている。

自由化スタートで切り替え「検討」は多いものの、「実績」は一部にとどまる

 電気料金比較サイトが既存の電力会社の切り替えを検討したユーザーを対象に実施した調査によると、切り替えを検討した人が最も多かったエリアは「首都圏」(東京電力管内)が58.1%と圧倒的で、以下、「関西圏」(関西電力管内)が12.9%、「中部圏」(中部電力管内)が9.9%だった。

電力自由化がスタートして、都市ガスや通信会社などの新規参入事業者は割安な料金で売り込みを図っているが、実際に切り替えた家庭は一部で前評判とは異なり静かなスタートとなった。特に電気料金が高く、新規事業者に有利とされた関電管内では約17万2300件の切り替えがあり、そのほとんどは大阪ガスが獲得した。ただ、全世帯ベースでは1.7%にとどまっており、今のところ影響は軽微だ。

こうした中で、小売事業者の営業活動については、相談・問い合わせが多く寄せられている。中でも太陽光発電やオール電化関連機器など、自由化と関係ない便乗商法も報告されており、経済産業省などは引き続き改善指導を強化している。

光熱費の見直しもあって、電力の切り替えがじわり広がる

 電力自由化がスタートし、改めて光熱費の見直しを考える家庭が増えている。KDDIの調査によると、今年度の家計の見直しを考えたいと回答した世帯は54.1%となり、見直したい家計項目は「光熱費」が8割を超えてトップだった。

 こうした背景から電力の契約先を新規事業者に切り替える動きもじわりと増えており、15日時点で68万3000世帯に達した。全国の世帯数(6260万)からみると約1%だが、一週間前の8日時点からは約6万件増えた。地域別では東京電力ホールディングス管内が42万9700件と最多で、次が関西電力管内の16万5000件。両管内とも大手都市ガス事業者への切り替えが多くなっており、東京ガスは約26万件、大阪ガスが11万件超の契約を獲得した。     

一方で、詐欺的な勧誘も増加しており、経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会は、川崎市などで正しい知識をPRする街頭キャンペーンを実施。虚偽や誤解を招くような勧誘の指導も行っている。