「電力取引監視等委員会」の委員が内定

 2015年9月1日に向けた設立準備がされている、「電力取引監視等委員会」の委員長にアジア研究所所長の八田達夫(はった たつお)氏が内定した。他、委員には4名が内定。法律分野では弁護士の稲垣隆一氏、工学分野では早稲田大学教授の林康弘氏、金融分野ではSMBC日興証券の圓尾雅則(まるお まさのり)氏、会計分野では監査法人トーマツの箕輪恵美子氏が任命される予定。
 電力取引監視等委員会の役割は、「小売全面自由化等を踏まえた電力の取引の適切な監視」及び「電力のネットワーク部門の中立性の確保のための厳格な行為規制の実施等を行う」こと。委員は経済産業大臣が、「職務に関し公正かつ中立な判断をすることができる者」から任命する。
 委員長に内定が決まった八田氏は、日本の電力自由化議論のオピニオンリーダー。発送電分離と電力リアルタイム市場の創設の必要性を主張している。規制緩和に関しては、「権益集団に起因する参入障壁」を根本的な課と捉えている。原発の再稼働に関しての八田氏は、論点を次の4つに整理している。
 ① 夏の電力不足を招く
 ② 温暖化対策に十分に貢献が出来ない
 ③ 電力料金が法外にあがり、日本の産業がつぶれる
 ④ ホルムズ海峡封鎖のようなエネルギー安全保障の危機に対応ができない
①~③についてはインバランス清算制度の創設により解消できるとし、再稼働に関し慎重な立場をとりつつも、当面の間は安全保障上の問題で、必要時の稼働体制を「国有化」前提で用意する必要があるとしている。

ドイツの事例で見る地域エネルギー事業者2

シュタットベルケ(地域エネルギー事業者)が一定のシェアを保有している理由の一つに、大手電力会社と同等のコスト競争力を持てていることがあげられる。 

一つは電力調達の最適化にある。

自社電源による発電や卸売市場との取引など、複数の選択肢の中から時々刻々と変わる電力調達コストにあわせて選択することで、最適なルート、コストで調達することができる。

さらにドイツでは1970年代のオイルショック時に省エネ政策として熱導管を敷設していることもあり、発電所から需要地点までの地域で発生した熱を無駄なく利用する電熱併給事業による収入を得ていることも大きい。

海外に比べ日本ではコスト面で大手電力会社に対して競争力を持つことは難しいため、それ以外の価値を生み出すことが求められる。価値の提供先は需要家に限るものではない。

例えば、自治体との共同プロジェクトにより雇用を生み出し、高齢化・過疎化の進む地域の活性化を目指すなど、「社会貢献」で差別化することもできる。

ドイツの事例で見る地域エネルギー事業者1

ドイツにはインフラ(ガス、電力、水道等)整備、運営を行う「シュタットベルケ」と呼ばれる地域エネルギー事業者が数多く存在している。シュタットベルケには自治体が出資しており、地域の資源や雇用の活用で地域貢献している。 

ドイツの電力市場は1998年に全面自由化されている。シュタットベルケが大手電力会社への競争力を持てた理由のひとつに地域に密着したサービスの提供があげられる。例えば、家庭のエネルギー消費診断サービスや家内で発生した障害への対応など、地域密着型の電力以外のサービスとして提供している。

こうした多様なサービスを組み合わせたパッケージを提供することで顧客の囲い込みに成功している。

 当初、シュタットベルケと比較して電気料金が割高であった大手の電力会社がシェアを強め、シュタットベルケは激減すると予想されていた現在も2割以上のシェアを保っている。