電力業界と通信業界の自由化における要点

 電力小売り全面自由化に向け、電力業界では自由化を経験した通信業界関係者からノウハウなどを収集しようという動きがある。ネットワーク型インフラという面で通信業界と似ているが、自由化手法など異なる部分も多いため、どれくらいの効果が見込めるかは未知数だ。
 

 事業独占体制が崩れた通信自由化に対し、電力自由化は発電分野が届出制、小売り分野は登録制として新規事業者の競争を促しつつ、送配電分野は既存電力会社の送配電部門による地域独占体制や料金規制を残す。このため、新参入する新電力(特定規模電気事業者)は、いかに安価な電源を調達し、託送コストを抑えるかが重要となる。電力需給バランスを保つ「同時同量」も課せられ、ペナルティが発生する場合もある。
 

 それでも、市場が開放されることによるビジネスチャンスは大きい。このため、電力自由化による市場拡大には、通信自由化の時に問題視された公正競争ルール整備が徹底されるかが大きなカギとなりそうだ。

電力市場活性化の兆し

 電力小売への参入で、事業規模の拡大につなげようという動きが顕在化してきた。

イーレックスが、米・スパークエナジーと低電圧分野(家庭用や小規模オフィス、商店など)への電力小売合弁の設立で合意した。大阪ガスは来年4月から一般家庭を含めた顧客に、電気とガスのセット販売を始める。大阪ガスが電力小売を手掛けることで、供給エリアが競合する関西電力との顧客争奪戦が一層激化する。

一方、楽天は丸紅と電力小売分野で提携した。丸紅から調達した電力を仮想商店街「楽天市場」の出店業者などに販売する。商品やサービス購入で得られるポイント制度と連動した新サービスも開発する。

電力の小売自由化を巡って、新たなビジネスチャンスとして新電力(特定規模電気事業者)の登録申請も加速している。新電力の情報提供や経費削減提案などを行っている新電力バンクは、新たに「新電力バンク東池袋支部」をウェブ上にオープン、体制の充実と新規顧客獲得を目指す。

電力小売全面自由化に向けた市場動向とサービス

 来年4月の電力小売全面自由化に向け、企業や自治体による大手電力会社以外からの電力調達が加速している。割安な電力の購入でコスト削減を図るほか、自社サービスとのセット販売で顧客の囲い込みを狙う。

 ローソンは、新電力(特定規模電気事業者)からの購入店舗を今後2・5倍に増やし、年間の電気代を平均2%程度引き下げる。鳥取市は鳥取ガスと共同で、新電力「とっとり市民電力」を設立。エネルギーの地産地消で、地域経済の成長につなげていく。

また、楽天と丸紅は、小規模店舗などへの電力小売で業務提携した。丸紅が発電する割安な電気をインターネット仮想商店街「楽天市場」の出店業者などに販売、楽天市場のポイントと連動する新サービスも開発する。
 

電力販売は2000年から段階的に自由化されたが、電力会社間の連携も強く新規参入のシェアは5%程度。ただ、長年地域独占営業を続けてきた電力会社はマーケティングの概念は薄く、価格とサービスが重視される全面自由化後は、大手電力以外からの購入がさらに活発化する見込み。